会社のお金と決算書が読める講座

区分2 決算書の3つ★★

No.05 キャッシュフロー計算書(お金がどう動いたか)

キャッシュフロー計算書(CF)は、期間の中でお金がどこから入り、どこへ出ていったかを3つに分けて見る表です。中小企業では作っていないことも多いので、この回はさらっと、代わりの見方を中心に読みます。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 3つに分けて読む
  3. 第2章 作っていない会社の代わりの見方
  4. 確認問題

第0章 前提知識

① キャッシュフロー計算書 :お金の出入りだけを書いた表

キャッシュフロー計算書は、英語の Cash Flow statement から CF(シーエフ)と略します。 損益計算書が売上や費用(発生した分)を書くのに対して、これは実際に入ったお金と出たお金だけを書きます。

No.02で見たとおり、売上が立っても入金は後です。 その差を埋めるために、お金の動きだけを取り出した表があります。

② 似た言葉との違い

何のことか
損益計算書(PL) 期間の成績。売上が立った時点で書く
貸借対照表(BS) ある日の持ち物の一覧(No.04)
キャッシュフロー計算書(CF) 期間のお金の出入り。入金・出金した時点で書く
現預金 手元の現金と、銀行口座の預金

③ 作っていない会社も多い

上場企業などは、キャッシュフロー計算書を決算書として作ります。 一方で、一般的な中小企業は、会社法で求められる決算書の中に入っていないので、作らないことが多いです。 freee の試算表でも、損益計算書と貸借対照表の形は見られますが、キャッシュフロー計算書は別に作る物です。

作っていないからといって、お金の動きを見なくてよいわけではありません。 後半で、手元にある物で代わりに見る方法を書きます。

第1章 3つに分けて読む

① 営業・投資・財務の3つ 必ず覚える

お金の出入りを、動いた理由で3つに分けます。

区分 何のお金か 例
営業キャッシュフロー 本業で出入りしたお金 売上の入金、給与・家賃・仕入れの支払い
投資キャッシュフロー 会社の将来のために使った(回収した)お金 設備や車の購入、設備の売却
財務キャッシュフロー お金の借り入れ・返済、出資の受け入れ 銀行からの借入、借入の返済

数字の例です。説明用に作った数字で、単位は万円です。

区分 金額
営業キャッシュフロー +80
投資キャッシュフロー −50
財務キャッシュフロー −10
期間の現預金の増減 +20

期首(期の初め)の現預金が300万円なら、期末は320万円になります。 3つを足したものが、現預金の増減に一致します。

○ 重要度:3つの区分の名前と意味は必ず覚える。作り方の細かい方式(直接法・間接法)は深追いしない
○ よくある勘違い:「借入をして現預金が増えたなら、お金の動きは良い」→ ×。借入は財務キャッシュフローで、本業で稼いだお金とは別です
○ 関係する単元:借入と返済はNo.07(後で出ます)

② 理想の形は「営業がプラス」 必ず覚える

会社が続くために、いちばん大事なのは営業キャッシュフローがプラスなことです。 本業でお金が増えていれば、その中から設備への投資や借入の返済ができます。

逆に、営業がマイナスなのに現預金が減っていない会社は、借入(財務)や資産の売却(投資)で穴を埋めている可能性があります。 その形が続くと、いつか借りられなくなった時点で止まります。

投資キャッシュフローは、多くの場合マイナスになります。 設備や車を買えば、お金が出ていくからです。マイナスだから悪い、という表ではありません。

③ 「黒字なのに営業キャッシュフローがマイナス」の読み方 必ず覚える

No.02の黒字倒産が、この表では一目で見えます。 例えば、利益が50万円出ていても、売掛金が70万円増えていれば、営業のお金は 50 − 70 = −20万円ほどになります(減価償却費など細かい調整は置いておきます)。 売上の入金がまだ来ていないので、利益の分も含めて、お金が出ていく側に回っているということです。

利益が出ているのに現預金が減る時は、売掛金などの増えた分が原因になっていないかを疑います。

第2章 作っていない会社の代わりの見方

① 試算表と通帳でお金の動きを追う 必ず覚える

専用の表が無くても、次の3つを見れば、お金の動きの大まかな形はつかめます。

  1. 貸借対照表で、現預金が前の月からいくら増減したかを見る
  2. 増減の理由を、営業・投資・財務のどれに当たるかで分ける
  3. 通帳の入金・出金を、同じ3つの箱に分けて確かめる

2の分け方は次のとおりです。

特に財務で注意が要るのは、借入の返済です。 返済のうち、元本(借りた額そのもの)の返済は、損益計算書の費用には出てきません。利息だけが費用になります。 だから、損益計算書が黒字でも、返済でお金が出ていって現預金が減ることがあります。通帳を見れば、出金として必ず確かめられます。

② 月に1回の見方 さらっと

月に1回、試算表を開いた時に、次の一言だけ確認します。

現預金は先月より増えたか、減ったか。その理由は、営業・投資・財務のどれか。

これを続けるだけで、キャッシュフロー計算書の考え方は身に付きます。 どうしても表の形で欲しい時は、中小企業庁が、2期分の決算書を入力して作れる簡易な作成ツールを公開していたことがあります(現在の提供状況は公式サイトで確認してください)。

キャッシュフローは、本業(営業)・投資・借入返済(財務)の3つに分けてお金の出入りを見る。表が無くても、現預金の増減の理由を3つの箱に分ければ代わりになる。営業がプラスなことが大事。

確認問題

問1 設備を買うために50万円を支払いました。キャッシュフローの3つの区分のどれに入りますか?

問2 損益計算書は黒字なのに、現預金が前の月より減りました。まず疑うのはどれですか?

問3 キャッシュフロー計算書を作っていない会社が、お金の動きを確かめる方法として合っているのは?

出典:中小企業庁「中小企業の会計 31問31答」財務サポート(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/tools/2008/index.html。キャッシュ・フロー計算書の簡易作成ツールの案内あり)/法務省令「会社計算規則」(e-Gov 法令検索)/freee 会計「会計帳票」紹介ページ(https://www.freee.co.jp/accounting/small-business/accounting_documents/)。数字は全て説明用の例。