日本銀行(日銀)は、日本の中央銀行です。 金融政策決定会合という会議で、お金の値段(金利)の基準になる方針を決めます。これが政策金利のおおもとです。ニュースの「日銀が利上げ」は、この基準を引き上げる話です。
円安は、1ドルを買うのに必要な円が増えること。円高は、逆に減ることです。
| 動かすもの | 自社に来る道 | |
|---|---|---|
| 金利 | お金を借りる代金 | 借入の利息 |
| 物価 | ものの値段・人の給料 | 仕入・人件費・光熱費 |
| 為替 | 円と外貨の比率 | 輸入する物の仕入値 |
道筋はこの順です。
日銀の金利の方針 → 銀行が決める貸出の金利 → 自社の利息の支払い(損益計算書の営業外費用)
日本銀行の記者会見では、市場の金利に連動する貸出金利はすでに上がっていると説明されています。変動型の貸出では、短期プライムレートの動きが波及しうるとも説明されています。 一方で、固定金利の長期の貸出は、市場の金利の動きがあとから反映されていきます。
自社で気にするのは、変動金利で借りている分です。借入が変動金利なら、金利が上がると、次の返済から利息が増えます。固定金利なら、契約期間中は変わりません。
試算は、No.07と同じ式でできます。
利息の増え方 = 変動金利の借入残高 × 上がった金利の幅
架空の例で、変動金利の借入が2,000万円、金利が0.25ポイント上がるなら、2,000万円×0.25% = 年5万円の増加です。 毎月にすると、約4,000円強です。小さく見えますが、利益が薄い事業では効きます。
いま金利がどの水準かは変わる数字なので、本単元では書きません。日銀のホームページで、最新の決定を確かめられます。
○ よくある勘違い:「日銀が利上げしたら、翌日に自社の利息が上がる」→ ×。契約の種類(固定・変動)と見直しの時期で、反映が遅れます
○ 預金の金利も上がるので、現預金が多い会社は受取利息が増える面もあります(日銀の説明でも、借りる側は負担、預ける側は恩恵という整理があります)
○ 関係する単元:No.07(金利と利息の計算)
物価が上がると、会社の中で値段が上がる物が2つあります。
損益計算書のどの行に出るかは、次のとおりです(No.03)。
| 上がる物 | 出る行 |
|---|---|
| 物販の仕入値 | 売上原価 → 売上総利益(粗利)が減る |
| ヘルパー・スタッフの給料 | 販売費及び一般管理費の人件費 |
| 光熱費・家賃 | 販売費及び一般管理費 |
費用が上がった時、売る値段を上げて埋められれば、利益は守れます。これを価格転嫁(かかくてんか)と言います。
事業によって、転嫁のしやすさが違います。
つまり、同じ物価上昇でも、介護は費用だけが先に上がって売上が追いつかない形になりやすい、と言えます。 この点は、あなたの複数の事業で影響が違う部分です。
物販で海外から商品を仕入れているなら、為替が直接効きます。
道筋は、円安 → 同じ外貨の商品を、より多くの円で買う → 売上原価が増える → 粗利が減るです。
架空の例です。1ドルの商品を、1ドル=140円の時は140円で仕入れ、1ドル=150円になれば150円で仕入れます。 同じ商品なのに、仕入値が10円上がります。売値を変えなければ、その10円分、粗利が減ります。
逆に円高なら、仕入値が下がって粗利が増えます。
為替の影響は、次の2点でさらに変わります。
「予想して当てる」のではなく、「円安が進んだら、自社の粗利がどれだけ減るか」を前もって計算しておくのが現実的です。
ニュースを読んだら、次の3行にまとめます。
架空の記事を使った例です。
記事(架空):「日銀が政策金利を引き上げた。銀行の貸出金利の引き上げが続く見通し」
3行目の「どのくらい」は、正確でなくても構いません。桁が分かれば、動くべきかどうかが判断できます。
記事には、自社に関係しない言葉も多く出ます。全部の言葉を調べるのではなく、「金利・物価・為替のどれの話か」を1つ決め、その道筋だけを追ってください。 記事の予想が当たるかどうかは、この講座では扱いません。大事なのは、記事に出会った時に自社のどの行を見ればよいかが分かることです。
金利は借入の利息(営業外費用)、物価は人件費と仕入(売上原価・一般管理費)、為替は輸入の仕入値(売上原価)に効く。記事は「何が起きた→自社のどの行→どのくらい」の3行にする。
問1 日銀が政策金利を引き上げました。自社が変動金利で借りている分は、損益計算書のどの行に影響しますか。
問2 変動金利の借入が1,000万円で、金利が0.5ポイント上がります。1年の利息はおおよそどう変わりますか(架空の数字)。
問3 海外から商品を仕入れる物販の会社で、円安が進みました。売値を変えないとき、損益計算書で起きることはどれですか。
問4 物価が上がって光熱費や人件費が増えました。訪問介護の会社が、物販やスタジオに比べて苦しくなりやすい理由として、本文に合うものはどれですか。
出典:日本銀行「総裁記者会見」2026年1月23日(短期プライムレートと貸出金利の関係、市場金利連動型の貸出金利の上昇)。https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2026/kk260126a.pdf /日本銀行「金融システムレポート」2024年10月号(預金金利の動き)。https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr241024.htm /介護報酬が公定価格であること・定期的に改定されることは厚生労働省の案内で確認できます。為替・物価の道筋は一般的な経済の説明で、数字はすべて架空の例です。