会社のお金と決算書が読める講座

区分2 決算書の3つ★★★

No.04 貸借対照表(何を持ち、何を借りているか)

貸借対照表(BS)は、ある日の時点で「会社が何を持っていて、そのお金をどこから集めたか」を左右に並べた表です。損益計算書の次によく見る表です。表のつながりが見えてくる回です。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 左右の意味
  3. 第2章 見る所は3つに絞る
  4. 第3章 損益計算書とのつながり
  5. 確認問題

第0章 前提知識

① 貸借対照表 :ある日の「持ち物と出どころ」の一覧

貸借対照表は、バランスシートとも呼ばれ、BS(ビーエス)と略します。 決算日や月末といった、ある1日の時点の会社の姿を写した表です。

損益計算書が期間の通知表なら、貸借対照表はその日に撮った写真です。 期間の間に何が起きたかではなく、いまの時点で何がどれだけあるかを表します。

② 似た言葉との違い

何のことか
資産 会社が持っている物。現金・預金・売掛金・設備など
負債 いずれ返す義務のある物。借入金・買掛金など
買掛金 仕入れたけれど、まだ払っていない代金。負債に入る
純資産 資産から負債を引いた残り。資本金や、積み上がった利益などが入る
資本金 株主(オーナー)が出資して会社に入れたお金。出資とは、会社の元手としてお金を出すこと
売掛金 No.02で見た、サービスをしたけれど、まだ入金されていないお金。介護報酬の未入金分も同じ。この表では資産に出る

数字が多い表ですが、読み方は左右の意味さえ分かれば決まります。

第1章 左右の意味

① 左は「何を持っているか」、右は「どこから出したか」 必ず覚える

貸借対照表は、左右に分かれています。

右側は2段に分かれます。 上が負債で、いずれ返す必要のあるお金(借入など)です。 下が純資産で、返さなくてよいお金(株主(オーナー)が出したお金と、会社がこれまでにためた利益)です。

数字の例です。説明用に作った数字で、単位は万円です。

左(資産) 右(負債・純資産)
現預金 300 借入金 450
売掛金 400 買掛金など 50
設備 100 (負債の合計) 500
純資産 300
合計 800 合計 800

左の合計と右の合計は、必ず同じ金額になります。 資産 = 負債 + 純資産、という形です。

なぜ必ず一致するのか。 持っている物(左)は、借りたお金か返さなくてよいお金(右)で手に入れた物だからです。出どころを全部書き出せば、持ち物の合計と同じになります。 バランスシートの名前は、この左右がつり合っていることから来ています。

○ 重要度:左右の意味と「資産 = 負債 + 純資産」は必ず覚える。科目の細かい名前は、さらっとで足ります
○ よくある勘違い:「右側は、お金の使い道が書いてある」→ ×。右は出どころです。使い道(持ち物)が左にあります
○ 関係する単元:売掛金が増える仕組みはNo.02

② 純資産がマイナスだと「債務超過」 さらっと

資産より負債の方が大きくなって、純資産がマイナスになることを、債務超過と呼びます。 持っている物を全部お金に換えても、借りたお金や代金が返しきれない状態です。 銀行がもっとも注意する状態のひとつなので、言葉だけ知っておいてください。

第2章 見る所は3つに絞る

① 現預金 必ず覚える

いま手元と銀行口座にあるお金です。 例では300万円です。

この額が、毎月の支払い(給与・家賃・返済)の何か月分に当たるかを見ます。 月の支払いが150万円なら、300万円は2か月分です。 黒字でも現預金が少ない会社は、入金が遅れた時に支払いに困ります。何か月分あれば安心かは、自社の入金が何か月遅れるかを知り、その月数分の出金を先に立て替えられるかで見ます。くわしくはNo.06(資金繰り、後で出ます)で扱います。

② 借入金 必ず覚える

銀行などから借りて、まだ返していないお金です。 前の月や前の年より増えているのか、減っているのかを見ます。

借入が増えて現預金も増えているなら、お金を借りて貯めている形です。 借入が増えているのに現預金は変わらないなら、赤字や支払いを借入で埋めている可能性があります。 返済額や金利の見方は、No.07で扱います。

③ 純資産 必ず覚える

会社が自分の力で積み上げた「返さなくてよいお金」です。 プラスで、前の年より増えているのが健全な形です。 減っていれば、赤字が続いて蓄えを削っているということです。

純資産の比率は、会社の体力の目安になります。その見方はNo.08で扱います。

第3章 損益計算書とのつながり

① 利益は純資産に積み上がる 必ず覚える

2つの表は、別々の表ではありません。 損益計算書で出た利益が、貸借対照表の純資産に積み上がります。

例で見ます。前の期末の純資産が300万円で、今期の当期純利益が40万円だったとします。当期純利益とは、No.01で見た利益の最後の段で、法人税などを引いたあとに会社に最終的に残る利益のことです。営業利益のような途中の段の利益とは別で、純資産に積み上がるのはこの最終の利益です。 配当(利益を株主に分けること)などは無いものとします。 今期末の純資産は、300 + 40 = 340万円になります。 赤字の場合は、逆に純資産が減ります。

つまり、損益計算書は「期間の増減」、貸借対照表は「その日の残高」で、利益のところでつながっています。 損益計算書で出た利益の分だけ、貸借対照表の純資産が増える。 これが2つの表を結ぶいちばん大きな線です。

② 利益が出ても、お金が増えるとは限らない 必ず覚える

利益は純資産を増やしますが、その分が現預金として増えるとは限りません。 売上が売掛金になっていれば、利益は出ていても、資産の中身は現預金でなく売掛金で増えます。 No.02で見た「黒字なのにお金が無い」は、貸借対照表で見ると、左側の増えた分が現預金でなく売掛金に入っている形です。

③ freee の試算表で見る さらっと

freee では、月ごとの試算表の中で貸借対照表の形の表も見られます。 月末の現預金・借入金・純資産を、毎月並べて追えます。 画面の名前や操作は、プランや更新で変わることがあるので、見つからない時は「試算表」や「月次推移」を探してください。

貸借対照表は、ある日の持ち物(左)と出どころ(右)の表で、左右は必ず同じ額になる。見る所は現預金・借入金・純資産の3つ。損益計算書の利益が、純資産に積み上がる。

確認問題

問1 貸借対照表の右側(負債と純資産)は、何を表していますか?

問2 貸借対照表で、経営の目でまず見る所として挙げた3つはどれですか?

問3 資産が800万円、負債が500万円の会社です。純資産はいくらですか?

問4 前の期末の純資産が300万円で、今期の当期純利益が40万円でした(配当などは無し)。今期末の純資産は?

出典:法務省令「会社計算規則」(e-Gov 法令検索)の貸借対照表の区分(資産・負債・純資産)/中小企業庁「中小企業の会計 31問31答」財務サポート(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/tools/2008/index.html)/freee 会計「会計帳票」紹介ページ(https://www.freee.co.jp/accounting/small-business/accounting_documents/)。